思い上がり

 

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)

  • 作者:江國 香織
  • 発売日: 2004/05/01
  • メディア: 文庫
 

10年前に読んでいたらしくて、文章はあまりにまずいのだけど別に進歩したわけでなし、とりたてて10年前に書いたことが恥ずかしいとも言えないような気がする。でも今は主人公との間に距離ができた。多分私はこのようには死ねないだろう。

私が買ったのは新潮文庫で、今amazonにはハルキ文庫の在庫しかないらしい。amazonで買うのを表紙の好みで一度見送っていて、古いバージョンを書店で見かけたので購入した。リンクを貼っておいて失礼な話だが。

タイトルを本の名前にしなかったのは感想を書くつもりがなかったからで、もしこの小説に興味が出た人がいたら、別の、夥しい数があるだろうレビューを当たって欲しい。私はずっとずっと、江國香織の小説がとてもメジャーなことについて、嬉しい誤算、というかんじがしている。どんな書店でも江國香織なら一冊や二冊は売っている。でも江國香織の作品を好きな人がそんなにいるんなら、世界はもっと私が過ごしやすいはずなのに、とも思う。

 

最近は思い上がりが強くて、自分が何かに触れたらそれを壊したり変えたり、影響を与えてしまうような気がしている。実際にはなんらかの関わりを持てば、相手に影響を全く与えないことも自分が影響を全く受けないことも難しいことはわかっているし、でもそれは多くの場合何かを決定してしまうようなものではないことも知っているけど、私から遠いところでその人やその世界がうまく回っているなら、余計なことをしたくない。

自分の寂しさは自分の寂しさで見つめないこともなくて、でももう何年も、そうやって最後に残る孤独のことを憧れ慕うみたいに生きてきてしまったから、逃れたいとは思えない。どうやったらこの最後のヴェールを潜れるかしらと思う。真っ白い光が差しつつあって、今年の残りは自分の前には影が落ちないような気がする。あと5ヶ月の間にまだ何か色が混ざるだろうか。最近はそういう雑多な、賑やかな気配を忌避する気持ちすら薄れてきた。だいたいのことは時間と程度の問題のはずだ。私は私のいるべき静かな場所にいつか辿り着いてしまうだろう。遅かれ早かれ、良かれ悪しかれ

イルパピロの紙製ブックカバーが欲しい。学生の時友人にもらったのを最近触っていて、新しいのを買いたいけど見つからない。