パルプ

パルプ (ちくま文庫) 作者:ブコウスキー,チャールズ 筑摩書房 Amazon 中身を知らないで読んだけど想像の倍は読みやすかった。たまたまチャンドラーとかロバート・B・パーカーとか読んでたからこの本の "パルプみ" を苦労せず理解できたところがあるかもしれ…

メインテーマは殺人

メインテーマは殺人 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫) 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 東京創元社 Amazon 以前3作目を読んだシリーズの1作目。伏線がかなり丁寧なので途中でなんとなく犯人がわかった。こういう犯人当ても楽しみのひとつだ…

透明な夜の香り

透明な夜の香り (集英社文庫) 作者:千早茜 集英社 Amazon (以下全編ネタバレ) 自死遺族である女性が、尋常でない嗅覚の持ち主である調香師の屋敷で家政婦として働く話。 主人公は兄の死から一年ほど経った頃、突然出勤できなくなって前職を辞めた。半年程…

マルテの手記

マルテの手記(新潮文庫) 作者:リルケ 新潮社 Amazon たしか9月の終わりに最初のページを開いて、12月の最初までかかって読み終わった。実際文字を追っていたのは5時間そこそこだろうと思うが、時系列が整っていない断片的な文章を読むことになるせいか集中…

約束の地

約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 110-3 スペンサー・シリーズ) 作者:ロバート B.パーカー 早川書房 Amazon 70年代のハードボイルドミステリ。探偵スペンサーが、家出した妻を探して欲しいという依頼を受けるところから始まる。 お話自体は面白いだけなんだ…

コンジュジ

コンジュジ (集英社文庫) 作者:木崎みつ子 集英社 Amazon 単行本で読んだけど今は文庫が出ているみたい。文庫だとあとがきがあったりするのかな。 児童性虐待の描写があるのでトラウマのあるひととかは読まない方がいいと思う。 ね た ば れ ↓ 小説はすごく…

映画館がはねて

映画館がはねて 作者:山田 洋次 講談社 Amazon 古本のリンクしか見つけられなかった。1989年に出た本だから仕方がないか。 寅さんシリーズで有名な山田洋次監督があちこちに連載したエッセイやコラムを集めた本。同じエピソードが違う切り取り方で2回登場し…

百鬼園随筆

百鬼園随筆 (新潮文庫) 作者:内田 百けん 新潮社 Amazon 佐野洋子が好きだと書いていたから読んだ。たしかに佐野洋子が好きな人は内田百閒も好きかもしれない。 さすがに刊行が昭和8年で、大抵の差別とそれに用いる用語がまだ生き生きとしているから耐性のな…

穴(新潮文庫) 作者:小山田浩子 新潮社 Amazon 表題作は2014年の芥川賞なのだそうだ。芥川賞が発表される号の文藝春秋は父がたいてい買っていたのでそれで読んだ作品もあるのだけど、その習慣が失われたあとの作品のような気がする。どちらにしても2014年だ…

さいはての家

さいはての家 (集英社文庫) 作者:彩瀬 まる 集英社 Amazon 彩瀬まるの新しい文庫が出ていた。古い貸家に住むひとたちにまつわる短編が5編。各話に繋がりはあるけど独立して読める。 初出がもっとも遅い「かざあな」でも2019年11月号のすばるなので、完全にコ…

ここは、おしまいの地

こだまさんの本を読んだ。 ここは、おしまいの地 (講談社文庫) 作者:こだま 講談社 Amazon こんな表紙なのか。「夫のちんぽが入らない」以来だと思う。 単に自分よりこだまさんのが不幸っぽいので元気が出る部分もあるし、逆にこだまさんはこんなに大変なの…

Tustin Station

水曜の朝は早く起きて、濁った色のトロピカーナを薄暗い部屋で飲んだ。美味しいような気がする。 珍しく重たく曇った空の下、タスティン駅で友人と別れて電車に乗った。電車といっても電気じゃなくてディーゼルで動いてるから、列車とか汽車とか、そういう言…

Wes Anderson & Shohei Otani

急に人名になっちゃった。 午前中は殆ど眠っていた。他人の家には自分の問題がないから落ち着くのだと思う。 前日の夜、予習兼酒の肴にエンジェルスの負け試合を見ていたのだけど、間に挟まるペンキやら4WDやらのCMの中に、ウェスアンダーソンの新作の宣伝も…

South Coast Plaza, 散歩と買いものの日

この日は家主が出勤したので私はゴロゴロしながら友達にカードを書いた。日本に3枚、フランスに1枚。届くか不安だけど、USPSの独自システムっぽい無骨な自動販売機からair mail用のstampを買って、self service cards&enveloppesって書いてる窓口に放り込ん…

Santa Monica, the Getty Center & the Pantages Theatre

今日はお目当ての美術館に行く途中にあるビーチに寄ってご飯を食べましょう、と連れが言って、着いたビーチはとても賑わっていた。常設の海の家みたいなレストランがいくつもあって、小さくてカラフルな観覧車がすごい勢いで回っていた。空は青くけぶってい…

Julian&Anza-Borrego Desert State Park

この日は朝起きてぼーっとしていたら何時に家を出るかを聞かれた。前日この人いつになったら家を出る支度をするのかな、と私も思っていたのでそれなりに探り合いみたいなのが発生していたのかもしれない。 Crystal CoveのShake Shackで美味しいブレックファ…

Disneyland Park

最初の夜は自分のカーディガンをかけて眠っていたのだけど、セントラルヒーティングの空調でしんしんと冷えて、定期的に足指が攣るのを宥めるうちに朝になった。明け方は鳥が結構うるさい。 着いた日に買った無脂肪のヨーグルトを食べたらかためのしっかりし…

Irvine

先月の下旬、アメリカのカリフォルニア州に遊びに行っていた。細かい記憶が残っているうちに記録しておく。 朝職場に顔を出してから関東に移動して、直行便でLAXに降りた。私の住む街は約束された土砂降りだったけど、もう太平洋を跨ぐまで屋根のないところ…

ゼラニウム

ゼラニウム (中公文庫) 作者:堀江 敏幸 中央公論新社 Amazon 2002年の短編集。日本人作家の気分がどうの、と言ったわりに日本人の名前ではあるのだけど、堀江敏幸はフランスものの気持ちのときに読むから、この位置は仕方のないこと。6篇収められていて、ど…

ある島の可能性

ある島の可能性 (河出文庫) 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon お盆が明けたら日本人作家の気分がかげって翻訳ものを読んだ。ウエルベックの3作目の長編、2005年刊行のSF小説だ。(犬が複数回死ぬので無理な人は読まないで欲しい。) 21世紀…

ひきなみ

ひきなみ 作者:千早 茜 KADOKAWA Amazon 気まぐれにハードカバーで買ってあった。人気の作家だからっていつも文庫になるのを待つのも甲斐性がないか、と思うタイミングが定期的に来る。経済力と腕力の問題で普段は文庫にせざるを得ないけど。 両親の事情で瀬…

シリウスの道

シリウスの道(上) (文春文庫) 作者:藤原伊織 文藝春秋 Amazon シリウスの道(下) (文春文庫) 作者:藤原伊織 文藝春秋 Amazon 好きな作家こと藤原伊織の長編小説を読んでいた。この作品は初読だと思う、全然見覚えなかったし。 広告代理店に勤める男が主人…

不在

彩瀬まるの長編を読んでいた。 不在 (角川文庫) 作者:彩瀬 まる KADOKAWA Amazon 彩瀬まるの本とにかくずっと面白くてすごい。漫画家である主人公明日香が、死んだ父の屋敷を相続したことから始まる物語。 主人公が自身が育った屋敷を片付け始めてから、彼女…

日本のヤバい女の子 静かなる抵抗

日本のヤバい女の子 静かなる抵抗 作者:はらだ 有彩 柏書房 Amazon 2018年に出た無印の「日本のヤバい女の子」がとにかくめちゃくちゃ面白かったので続編も読んだ。日本の伝説や民話に登場する20人のヤバい女の子たちが紹介されている。 一つ一つのエッセイ…

江戸川乱歩傑作選

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫) 作者:乱歩, 江戸川 新潮社 Amazon 夏なので推理小説も怪奇小説も収録されている本を読んだ。最初の二篇、「二銭銅貨」と「D坂の殺人事件」のかんじのよさからすると最後の二篇、「鏡地獄」「芋虫」のグロテスクさ、気味の悪さが…

問題があります

問題があります (ちくま文庫) 作者:佐野 洋子 筑摩書房 Amazon 佐野洋子、「100万回生きたねこ」の作者だ。この本はエッセイ集で、旅の荷物に入れて一週間くらいそのままにしていたのを今日思い出して読み終えた。 時代による常識の違いなんかを除けば、私は…

バーティミアス サマルカンドの秘宝

バーティミアス1 サマルカンドの秘宝 上 (静山社ペガサス文庫) 作者:ジョナサン ストラウド 静山社 Amazon バーティミアス サマルカンドの秘宝 中 2 作者:ジョナサン・ストラウド,金原瑞人,松山美保 静山社 Amazon バーティミアス サマルカンドの秘宝 下 3 …

夏物語

夏物語 (文春文庫) 作者:川上 未映子 文藝春秋 Amazon 友人に薦められて読んだ。一時期その人と話すとやたら出産の話になるなと思っていたのだけどたぶんこの本の影響で、まぁそうなるのも無理からぬようなパンチの重い小説だった。よくネタバレを我慢してい…

不連続殺人事件

不連続殺人事件 (角川文庫) 作者:坂口 安吾 KADOKAWA Amazon 推理小説。文章は江戸弁でイカすし、漢字の送り仮名とかが独特なところもママで残してあって雰囲気も勢いもある。カルモチンやら青酸カリやらモルヒネやら雰囲気のある薬物がいっぱい出てくる。(…

人間の土地

人間の土地 (新潮文庫) 作者:サン=テグジュペリ 新潮社 Amazon 今は新訳もあるらしいのだけど、たまたまひらいたら巻末に宮崎駿がイラスト(地図)と文章を寄せていたのに出会いを感じて買った。出会いを感じる、という言い回しは絶対におかしいけど、馴染み…