South Coast Plaza, 散歩と買いものの日

この日は家主が出勤したので私はゴロゴロしながら友達にカードを書いた。日本に3枚、フランスに1枚。届くか不安だけど、USPSの独自システムっぽい無骨な自動販売機からair mail用のstampを買って、self service cards&enveloppesって書いてる窓口に放り込んできたからなんとかして届いてほしい。郵便局の有人窓口には10人前後の人が静かに並んでいて、人数に対する喧騒の比で言うと一番静かな場所だったかもしれない。リノリウムの床、照度の低い室内はなんだかアメリカじゃないようだったけど、窓口のお姉さんの落ち着きっぷりがアメリカ、というかズートピアナマケモノの窓口みたいで、これがあの!あのやつね!と失礼な感動を覚えていた。
そのあとは小一時間歩いてSouth Coast Plazaというショッピングモールに向かった。我慢できないでカリッサの写真を撮って、私は時速3km以下で歩かないと見られないようなもののことが本当に好きだな、と思った。見渡す限り歩いている人間はいなかったけど、どの道路にも歩行者用の押しボタン式信号はあったから、勢いを得て次々に押して渡った。ジョン・ウェイン空港から飛び立つ小さな飛行機を見送って、自転車に乗ったちょっと日系人ぽいおじいちゃんにHi!と挨拶をされた。

薄暗い高架下をやや怯えながら抜けるとその先にひまわり畑が広がっていた。発見にはしゃいでシャッターを切ったら前日夕方のシャッタースピードのままで、イーンシャンとか言ってたからイーンシャンじゃありませんと思って1/250に直してもう一枚撮った。セブンイレブンに寄ってみたら、並んでいる商品は全然違うんだけど、棚のレイアウトには共通するコンビニらしさがある。喉を鳴らして水を飲みながら歩くうち、同じくストレンジャーらしい男性3人組とすれ違った。額から汗を垂らしていた。その後はいかにもアメリカのホームドラマに出てきそうな、芝生のある美しい住宅街を少し歩いて、涼しいモールにたどり着いた。

このモールに来たのは、nordstromという百貨店でMerletteというブランドのワンピースを買いたかったからなんだけど、品物は見つけたのに店員が見当たらずしばらくうろうろする羽目になった。そうこうするうちにドルガバの売り場から出てきた店員さんに声をかけられたので、「ワタシ何にもわからないネどうやって買うノ」って聞いたら、「私に言ってくれたら別にドルガバのじゃなくても全部試着できるし会計もできるからね、声かけてね」というので安心してあちこち見て回った。広大な売り場に色々なブランドの洋服が置いてあるんだけど、店員は二人くらいしかいない。
欲しかったのがちょっと思い切りが必要な値段のワンピースだったので、一休みしようと思ってスターバックスでラテを買ったら味がしなくて驚いた、なんだかんだ日本のスターバックスは美味しい方なのかもしれない。ナイキのダンクハイとかもずっと探してるからついでに見たんだけど、結局円安すぎて国内の通販で買った方が安い。大抵のものがそう。
バスの時間もあるし、と思ってさっきの店員さんに相手をしてもらってワンピースを買った。サイズ違いの確認やら新品の在庫やらのために何度も行ったり来たりさせたのに嫌な顔ひとつしないで接客してくれて、嬉しかったな。この滞在の間、英語わかんないだろと思われているor単に遠慮がないっぽいコメントが斜め後ろから聞こえてくることは数回あったけど、面と向かって話した人たちはみんな親切で明るかった。店員さんの場合はプロフェッショナルだった、というべきなのかもしれないけど。
帰りは2ドルだけ払ってバスに乗った。薄暗くて悪い油の匂いがしたけど、その分外の眩しさが目に染みたし、バスが止まるたびに運転手のおじいさんが水分補給するのんびりした雰囲気が気に入った(飲んでたのがお酒だったらちょっと話は違ってくるけど)。妙なヒモのようなものが車内に渡してあって、それを引っ張ると音が鳴って次のストップで止まってくれる。
のんびりした1日を過ごした私と違い出勤していた友人は、大事な面談があったとかでちゃんとちょっとよれていて、社会人の哀愁ってこうやって漂わせるんだなと思った。夕食に食べたコストコのスモークサーモンが美味しくて、アメリカで食べたものの中で一番感動した。日本でも売ってるかな。カリフォルニア産の白ワインはジュースみたいに甘くて、これだから陽キャは、、、と思いながら飲んだ。