不連続殺人事件

 

推理小説。文章は江戸弁でイカすし、漢字の送り仮名とかが独特なところもママで残してあって雰囲気も勢いもある。カルモチンやら青酸カリやらモルヒネやら雰囲気のある薬物がいっぱい出てくる。(雰囲気のある薬物)

 

辺鄙な田舎にある名家の邸宅で起こる殺人事件の話で、住人やら客人やら使用人やらとにかく人が多いのに相関関係図はなくて、途中出てくる見取り図と冒頭の説明パートを頼りに読んだ。

 

犯人当ての楽しみはもちろんあるのだけど、登場人物に文筆家、画家、医者みたいな専門的な職業の人が多く、それぞれかなり頓狂だったり個性的だったりするところ、台詞回しのキレがいいところが飽きない秘訣のように思う。安吾が作中の人物に言及されるメタネタもあって本当に単に娯楽小説として今面白い。たぶん凄いことなんだろうな。