動きすぎてはいけない

 

 

動きすぎるとウイルスの運び屋扱いで他人に叱られるような状況の中、ここ最近はこれを読んでいた。

著者はTwitterアカウントを持っていて、わりと長い間観測範囲に入っていたのに著作を読んでいない人のひとりだな、と気づいて本を買って、結果的に読んで良かったと思う。著者が配慮のない言い方や理解のない事柄に対する軽率な発言で"炎上"していても、この仕事の大変さに比べたら屁でもないでしょうねと思えるし。

履修した学部の授業にドゥルーズ=ガタリについてのものがあったことと、東浩紀存在論的、郵便的_ジャック・デリダについて」をたまたま読んでいたことに理解(想像)を助けられた。まぁあとがきまでを読んだ段階では私は何を読んでいたんだろう…くらいに思っていたのだけど、巻末の解説(まだ全部読んでない)が、ちゃんと復習に見えたので、多少は何か読んだのだろうと思う。

この本は著者の博士論文を改稿して刊行されているのだけど、論文の改稿の仕方がたぶんかなり大胆で、この間読んだ高史明の博論よりもかなり文学寄りだった。読みやすいわけではないけど、感動はある。

内容について書こうとしてページをパラパラしたら大変そうだったのでやめるけど、私が好きだったのはシニフィアン連鎖のあたりから後で、もちろん最初のあたりのリゾームや非意味的切断についての記述は読まなきゃなんだけど、"8章 形態と否認 『感覚の論理』から『マゾッホ紹介』へ"や、"9章 動物への生成変化"あたりまで行くと論文としての構成の壮大さに対する感動があった。生成変化というテーマで、ここまで繋げることができるんだな、と思う。

いい加減ドゥルーズも親切な人の抜粋じゃなくて本人の著作を読まなくちゃ。