バカみたいな話

私には良い友達が何人かいて、何人もいるのだけど、この疫病を防ぐための外出制限の間、誰にも内緒で会いに来たひとは本当にただのひとりもいなくて、私には悪い友達はひとりもいないんだということがわかった。実際には全然死んでくれないのに、"死んだっていいよ"  "恨みっこなしね"  て笑って、もし私が本当に死んでも葬式にも来ないような、愚かで悪い友達がひとりくらいいたらよかったと思う。この病気が去っても、私は私がそんなことを思うような、ほんとうのバカだということを忘れられないだろう。死ぬときはどうせひとりだってわかってても"一緒に死のうね"って指切りがしたい、そういう欲を抱えたままじゃ、ロクな死に方をしないだろうに。