20190208 あっこゴリラ『GRRRLISM ONE MAN TOUR 』

@新栄アポロベイス

 

3連休前日にあっこゴリラ見てた!1曲目の終わりがけに着いた。ラップのMCさんのライブ見るのは大晦日呂布カルマ以来で、しかもあっこちゃんは呂布さん(さん)とは全然違うから、最初数曲はぽかんとしていた。結局普通にRyukiさんがベース弾いてるバンドサウンドの曲が好きで、保守的!と自分に思う。慣れ親しんだバランスに弱い。

ここでたぶん残念なお知らせなんだけど、ヒップホップは人間の啓蒙されたい欲を満たしてくれる、というのが私の直観だった。あっこちゃんがやろうとしてる音楽は啓蒙という言葉が持つまどろっこしさや選民意識の香りとは無縁なところにあるし、おそらくそういう思考停止は意図するところでもないだろうから、自覚したときにかなり後ろめたかったのだけど。私がずっと教育して叱ってくれ(本当に叱られるのには耐えられない)と思っているのがこんなところで露出すると思わなかったな。できればそのように自分の欲望を満たすために消費するのではなくて、もう少し身体的に、近い距離で聴きたい音楽だった。臆病なので精神的な警戒を解くのに時間がかかる。

以下は朗報で、この日のパフォーマンスはそういう捻くれた感受性を最初の数曲である程度置き去りにできる破壊力があった。一月経った今でも、余裕から数曲の流れがすごくよかったのを覚えている。彼女はMCでめちゃ一生懸命喋ってくれて、それを聞いてから曲を聴くと最高だな!!!!と思えた。叱り励まし一緒に闘って泣いて笑ってくれる、彼女に勇気を貰う人がどれだけいるだろうな、あっこゴリラがステージの上で、あるいはステージの上の脚立の上から、 "マジで願ってたら、思ってたら、マジで叶うから!できるから!やれる!ウチらは余裕でできる!超余裕!!!!" て叫んでたあの日のことを、マジで余裕だな…て思ったときや、ほんとうにつらいときに思い出したらいいんだね。彼女の言葉には本当に余裕だって信じられる透明さがあるし、彼女の声には現状に対抗できる鮮烈な色彩があると思う。音楽的には秒でアルバムが一周する明快さとキャッチーさで、耳に残るのに消化がいいのだけど、C&Rで巻き込まれる体験としてのインパクトの強さ、語りとしてのラップの生々しさで一つ一つの曲を叩き込んでくるところがある。スラムダンクを読了済の我々には非常に親和性が高いバイブスだった。(バイブスって何なのか後で誰かこっそり教えてください)

蛇足なのだけどその日あっこちゃんの声は勿論全然埋もれないしサックスやらフルートやらマイクで音を拾うパートが数秒でちゃんと音量バランス整っていいな、と思っていたらPAさんもチームで付いてきている方だった。どんなに上手なバンドでも音がしんどいと気になってしまうので、バンドはPAさんまで1チームがよいです、よろしくお願いします。

好きな曲を最後にやってくれて嬉しかった、きみだけのクイーン、きみだけ!

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この日飲んだテキーラベースのカクテルが美味しかったけど名前は分からなくて、同じお店に行ってすらもう一度同じ飲み物が頼めるかあやしい。とても寒かったから私はまだピンクのエコファーコートを着ていて、友達とBUMP OF CHICKENの歌を歌いながら歩いた。かけがえのなかった日々と同じように今も毎日が戻れない日々で、このまま景色が二重露光、三重露光になっていくのだとしたら死ぬときにはきっと視界が真っ白だろうと思う。あるいは網膜が焼き切れるのが先かもしれない。