CRCK/LCKS 『Double Rift』


友人に教えてもらって最近聴いてるアーティストの新譜が出て嬉しかったから全部の曲の感想を書いた、セクシーゾーンの感想書くのと同じノリだ、全方面に許してもらえる予定…


Double Rift


この作品は彼らの3枚目のEPで、前2枚もすごく楽しかったし充実していて散々驚かせてもらったのだけど、自分の耳を信じて言えば、ここへきて洗練の度はいや増しているように思う。洪水のような音色の奔流の中で(喩えが不謹慎なのを気にしているんだけど他に思いつかなかった)、聞かせたい要素がちゃんと浮き上がってくるので素人にとって聴きやすくなっている。やりたいこと沢山ありそうで、ずっとやりたいことやって欲しいなと思う。

1.Introduction
Introduction.ごく控えめにお囃子がやってくる


2.O.K.
作詞:佐藤文香 作曲:小田朋美
西荻窪にあるジェラート屋さんでジェラートを2種類食べたいけど他に用事がなくてやめとこって思ってたのだけどやっぱり今週末空き時間に行きたいなと思った、O.K.
土曜日は中央線止まらないからね、総武線だね。
挨拶がわりっぽい1曲目でCRCK/LCKSのポップさも不穏さも1分以内に全部出てくるって感じ、私のようなにわかにもわかる。


3.No Goodbye
作詞:小田朋美 作曲:小西遼 小田朋美
頭サビあとから入るタンバリンみたいな音(ハイハット…じゃない、なんか鈴っぽい)、そこで細かさのフォーカスがあうからそのあとシンセの間に入れてある細かいやつ全部聞こえて、すごい。そして細かい音がわりと間断なく鳴ってる。初期の事変聴いてる時と快楽の質が似ているなと思う。耳が忙しい。


2回めのサビ前”夢に”だけほぼ小田さんの声のみになるのその次からすぐセルフコーラスが入るの含めすごいよくて、そのあと下がりながらひろがってく流れの入口が最少単位なのグッとくる。


3:13から大見得切るとこのなだれ込み具合とかね!間奏Cメロ明けの大サビでブレイクが大好き人間とかaikoの最後のサビ前でピアノがグリッサンドすると神が降りてくるのを感じる人間とか、つまり私だけどそういう人はツボるやつだよね…わかりが深い…


4.Skit
作曲:小西遼
へんてこ系のインストがやってきたなと思ったら思ったよりはやめにF.O.して去って行く、もっとやっててくれても全然大丈夫なのに


5.窓
作詞・作曲小田朋美

白い空って言ってんのに死ぬほど晴れてる空のこと考えちゃう、イントロからサビまでずっと歌に被る旋律がなくてスッキリしてるからかな…

"窓を開けて飛び立てる あゝ あゝ あゝ 白い空"にたどり着いた時の開放感はすごくて、遠くに目を飛ばしてても怒られない気持ちになる、うれしい。
白い空の日は光の向きが曖昧になるから写真も現実味がなくなるのだけど、そういう気分にも馴染む柔らかい空気だと思う。
関係はおそらくないのだけどちょうど今日雀やらトンボやらは生きてるのが大変だったらサボって死んでも別にお母さんが悲しんだりしないんだろうなとふと考えて、なんて根暗なんだ…て絶望したばっかりだったのを思い出した。ね、この曲には淡く光る死すら連想できる自由さがある、ちょっとこういう話をしたかったんです(via.しいたけ占い

サビまでずっとメロディーあまり上下しないし音少なめ表情抑えめなのがサビ入ったら和音が手厚くなるのよくて、2番の方は右寄りかな、高音キラキラのシンセ(つたわれ)が鳴っててほんとよい、キラキラはいいもの、キラキラのふりかけ…。よく聞いたら歌あるとこはおおむね4拍子でサビにいたっては普通にダンスビートなのでこのアルバム内1.2を争うポップチューンでしたね…ベースいなくなってサビ戻る前2:34あたりから入ってるフルートは一際景気づけっぽくてすきだな、合図の笛、俄然のお囃子み


6.たとえ・ばさ
作詞:佐藤文香 作曲:小田朋美
とても美しくてあまり言うことがない、
てすさびにこころを投げてみて、特に誰ともとりかえたりしないでそこらあたりに漂ってるのを矯めつ眇めつしてはまあいいかと思う、そんなような日々だけど、こころをとりかえるのはこころを込めたり傷つけたりするよりも無造作でこだわりがないように思えていい、明るい。日本語がまあまあできてよかったなと思う。


7.zero
作詞・作曲:小西遼
ちょっとアンビエントみ(アンビエントのことをほぼ何も知らない人の考えるアンビエントみ)があったりもしつつ普通にギター格好良くてちゃんと人間の気配がするから安心する、リラックスできる。右行ったり左行ったりもごもごする音が結構あるんですけどそういう要素の気持ちよさと一つの作品としてのまとまりがケンカしてなくて設計の一貫性みたいなのを感じる。


8.病室でハミング
詩:文月悠光 作曲:小田朋美
正直に言うとあまりわからなくて、
でもいかにも弾き語りっぽい歌詞なのに重めのギターとベースが入るとやっと
問題の深刻さや烈しさと釣り合いが取れるような気がして不思議


9.Shower
作詞:小西遼 作曲:小西遼 小田朋美
初めてクレジットを見たからこれが小西さんの声だってやっとちゃんとわかった、ここ一ヶ月位は他の曲で聴いてたのに。Aメロのノリとかベースがずっと歌ってるかんじ大好きだな、ボーカルと付かず離れずちょっとそこまで、という風情でたのしい。1回目のサビで左に入ってるアコギのシャンシャンするのも好き、この曲に限らずなのだけど、あるとないとではくつろぎ度が全然違うものが大抵あるように思う。


3分過ぎて夕立来てからのワープゾーンは結局これ聞かないと落ち着かないような気もしてきて
だいぶ慣らされてきた感、2:43くらいから聞こえるピアノの低音は私にとって効きがいいやつ、明瞭な音の輪郭。(しかし減衰するのはだいぶ遅い気がするな今聞いたら、音色や録音のことなにも知らなくて残念)

CDだとF.O.してしまうからライブが、ね、たのしみになってきた

  • -

たぶんファンの方の間では言い尽くされていることだとおもうんですけど、これだけ全部盛りぽいのに音楽的に破綻しないところに一番感動している。各プレーヤーのスペック的に放っておいたら手数は無限に増えそうだし曲のつくりも常にカロリー高めなのに多少の胃もたれぐらいで済むところが本当に質のいい油なんですねえと思ってる、ほら、多少の胃もたれは幸せそうにお腹さすってダラダラしてたら治るし豊かさの象徴みたいなとこあるくない?以上、よく書きました、ちゃんちゃん