IN SIGHT -EP

聴いてみて、とりあえず寒くない季節のEPだ、と思って楽しい気持ちになった、夜半袖でふらふらしても風に吹かれても大丈夫な時分の。(この書き出しを書いてからしばらく経ってしまって私は明日にもコートを着そうだけれども)

1.SIGN

このベースのリフみたいなやつで全体をダサくないようにするの難しいと思っていて、シングルの時からなんだろこのバランス感覚…て思ってたんですけど、その曲で始まるの幸先がいい。私がよく知らないだけでしょうとは思うんだけどイイカンジネオソウルの流れから、新しいの始めますよ、とお知らせしてくれてるみたい。ハープの音でクジャクが歩いてるような優雅な庭を想起するのなんでなんだろうな。あ、でも途中、"向かい風が心開いたみたい"あたりにそのハープがチャイムみたいに動くとこあって、鐘が鳴って心開く合図ですねと思ったりなどした、TENDREを風流寄りに聞く会。

2.VARIETY

はやりだけじゃもう のところの音が好き。TENDREがアジア各国でライブしたときのことを考えてた、そこでジェントルでテンダーな東洋人として開襟シャツ着てやるのにこんなにふさわしい曲ってありますかね、これならレンズの小さい色眼鏡もかけられる。東京も台北も上海も香港もバンコクシンガポールも、ファン全員地元の素朴なおせんべみたいに親しく聞けると思う。オシャレで素朴でユニバーサルで"エキゾチック"な音楽でずっと愉しい。

3.ANYWAY

NOT IN ALMIGHTYの時、この絶妙にアンニュイなサックスも音の粒が転がるようなギターもぜんぶTENDREさんがおひとりで…だがしかしそれがいい…と思ったものだったしそれは今も変わらないのだけど、それから結構な回数のTENDREライブを見てしまったのもあって、このアルバムはなんとなく彼とその愉快な仲間たちが演奏するところが、ないしは仲間たちを背負って歌うTENDREの佇まいが想像されることが多い。これもそうで、いかにも心ゆくまで、て感じで眩しそうに歌うTENDREが脳内再生余裕でしょ。

4.SELF

サビーーーー!

届けたい心に余分なものをくっつけないことにかけてはTENDREに任せておいたらいいんですよね、GIVEと同じようにちゃんと届く。

5.IN SIGHT

お手紙形式を感じる歌詞、恥ずかしがらないで真っ直ぐ訴えるのほんとうにTENDREはえらいと思うしそれでもライブだと若干はにかんでるときあるのめっっっっっかわいいよねわかる?わかる。

この音源の音作りとても面白くてここまでみっちりしたの他であまり聞かないなと思う。BPMもかなり遅くて大変そうだけど最近のTENDREバンドだったら全然へっちゃらで最後まで間延びしないでやれちゃうんだろうな。繰り返されるフレーズのテンションが山脈の尾根みたいに重なりながらだんだん強くなる必要がある。

6.YOU CAN SEE

You can see the/that sign.て言われた…IN SIGHTというEPがSIGNで始まってYOU CAN SEEで終わるとか、今時アーティストがこんなちゃんとキザをやってくれることあるんです…?やば…

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TENDRE、知った時には既にジェントルな佇まいと静かに燃える熱い魂、といったご様子で、今回のEPもあまりによく伝わる作品であったがために聴き終えた今わりと雑然とした初期曲とか聴きたくなってますね、逆に。しかしそんなものはTENDREのディスコグラフィには存在しないのでもうampelを聴いてみるしか…てなっています(ampelがとっちらかってるだなんて微塵も想像してないけど)11月にライブを聴けるの楽しみ。