AINOU

 

 

中村佳穂さんの2nd album、1stを持ってない俄なのだけど買わなくちゃと思って買って、水曜日に届いたけど絶対泣いて社会に適応できなくなると思ったので聞かないで土曜日までとっておいた。案の定M7 SHE'S GONE くらいから泣いてて本当に情緒が身体に遠慮しなくて困る、涙はまだしも鼻水は泣き終わってもよくよく鼻をかんだりしなければいけなくていつもどんな原始的なシステムなんだよ、とげんなりする。性的な興奮はまだ生殖に関係しているししょうがないかと思うけど、作品に感動してすら体液を分泌するくらいしか能がない、食べて飲んで眠るそういう生き物だった、今週末も。たぶん来週末も。

 

1.You may they

歌詞は本当に開かれているような気がしていて、どれくらい有名で、そのことがどれくらい悪い/いいことかあんまりわかんないのだけど、でも新しい場所に行けそうな、確かにその方角がわかっているような曲。”いい日に生きて”のとこの歌詞の乗せ方とかカラオケで歌ったらそれで譜割りあってんの??って言われそうなんだけど、BAND SETトラックバチバチで来ました中村佳穂です、みたいな感じかなーっと思って聴いてたらそういうsswっぽい自由な歌いこなしも見せてくれる。アーティストがアルバムの一曲目をどうやって選ぶのか知らないけれど、聴くときはなんとなく挨拶だと思って聴いてるふしがあって、簡単なファンなので”わーい佳穂さん有名になっていい日に生きてあの感じになってね!!!!なろうね!!!!!”て思った、全然わからなくても。ビートやコーラスの処理が格好良くて、最近TIGERMOSやレミ街をまあまあ聴いてるのでいえーいってなってる、最後の”有名に繰り上がる頃には”の前で聞こえるいろんな音が好き。かわいい。

 

2.GUM

ライブで聴くのがすきな曲、ライブで聴いてもおねえさんは最新のシーンとか知らないからなんかちょっとダサない?昔っぽくない??すき…と思ったりするんですが音源で聴いてもやっぱイントロのメロもシンセの音とかも懐かしさがあってすき。あと2番のAメロでブレイクいれたりビート抜いたりするやつ好きなPOPS仕草だからうれしかった、しかも歌詞が愛はDESTINY、なのよくない?不景気な90年代みたいで落ち着く。全体におきゃわでノリノリ(ノリノリ)である。

3. きっとね!

これは動画を撮ったことがあって、ね、サビに入る転調でふわっと明るくなる感じで幸せになれる。全編ライブであれば佳穂さんが弾くであろうピアノが入っていて、私はこういうリズム楽器としてのピアノの使われ方が結構好きだなと思う。

だけど、CDを聴いて一番驚いたのは最後のサビ以降のアレンジだったな…。おっとサビ入った途端あれえ順当に下がっていった…?ってなるよね。もうなんかいろいろ違うんでしょうけどそこはDJにうまいことアレしてもらってアウトロから丸サに繋ぎた…い…

古き良きものたちのスタイルを引用するオシャレなやつのこととてもすき。そういえば荒木さんのインスタでテレコを紹介してくれるやつがあったのだけど、あのテープはこの曲のイントロだったんだなと思いました。

 

4.Fool For 日記

大好きな3拍子、ないし8分の6拍子だよ!8分の6拍子のがすきだけどもどうなのだろ。"ほとんど動物的な好感を覚える"曲。

京都のおしゃれな人たちの薄暗かったり薄明るかったりオーガニックインド綿not無印withお香という感じがしており名古屋の地下鉄で聴いていたらずいぶん悪いことをしている気持ちになった。私は今こんなにイケないものを聴いているのをみんな知らないのね、うふふ、という気持ち。密やかな。

 

5.永い言い訳

同名の小説/映画を未読なのだけれどどのようなゆかりのある曲なのだろう。とてもキーの高いバラードで、緊張感のあるブレスコントロール、繊細なファルセットでたまらないような気持ちになる。今にも静かに涙がこぼれそうで。

 

友人が絶対に泣いてしまう曲のひとつにあげていて、そのことが彼の心根の優しさを示唆するように思えた。私はこんなふうに許しを請えないから、人間同士の繋がりに対する思いの暖かさに手を浸させてもらっているような心地。

6.intro

ちょうど1分半

7.SHE'S GONE

全編彼女の足運びがみえるような和音の繰り返しが印象的な曲。モデラートってかんじ

なんだろこのファットなホーンセクション、フリューゲル…?と思ってクレジット確認したら普通にホルンが入っててすきでした、MUSIC FROM THE MARSの奥田敏朗さん。

この曲ずっと「ごーん、せごーん」ってなんだろって思っていたら歌詞カードにgone,she's goneって書いてあって、ぜんぜんshの音に聞こえなくて混乱した、もういい、些細なこと。

音楽を聞いてはなんだろって思ってばっかり。 

8.get back

ビートが全編めちゃよい、荒木さんにきゃーきゃー言っていたと思ったら北川さんエディットのやつがだいぶお気に入ってしまいジャニーズだったら担降りがチラつくところ。(しません)

サビの途中でシンセの五連符が入ったり、間奏明けて下が鍵盤だけでわりと緊張感あるところにスタタン、タタン…てスネアのディレイのやつが鳴り渡ったり印象的な要素がいくつかあってアホみたいに聴いているためすでにそれ待ちしてしまう、あさましい。2:25くらいからコンビニいくまでの下りが最推しかな…

名前を呼ぶっていうのは恐ろしいことで、そんなのはゲド戦記通ってきたひとなら色恋を知る前にわかることですけど、本当にそういう魔法を使用する/されるようになって思うのはそれで正気に戻れるような光の使い方したいな、ということだな…。私はといえば呪いが欲しくて、あるいは相手以外のことを忘れたくて呼んでもらったことのほうが多いような気がして、なんて後ろ暗い人生を歩んできてしまったんだろうな。でもずいぶん長いこと付き合っていた人は四六時中ありとあらゆる名前で私に呼びかけていて、あれはあれでひとつの愛を含んでいたとも思う、依存と執着に侵されていても。

ね、でもその声に私の名前じゃなくちゃ発動しない魔法があるのはわかる、それにつけても呼んで欲しいと思うときに正しく呼んでくれる人間の少なさには少し心細くなってしまうね、確かにいるとわかってはいても。

 

9.アイアム主人公

”さっき目の前でチャンスが呆れてた”

こういうことが結構あって捕まえられるときには捕まえられるのに、と思う。1:50くらいから入ってるシンセのオブリガードがオシャンのやつでとてもすき。

ライブだとわー今日はいつjust stopされるかなーって思ってにやにやしてたり荒木さんがピッチをフォールさせてくのが気持ちよかったり(こないだわかさんにアナログシンセ触らせてもらったときやってみればよかった)北川さんがずっと人力でコーラスしてるのが面白かったりしていまいち曲自体をちゃんと聴いてる感じがないのですが音源で聴いたら歌詞めっちゃ勇気づけられるやん、てなる。アイアム主人公っていう歌なのにコーラスやらなにやらいろんな掛け合いがあってそういう周りがあっての主人公なのかなあと思ったりする。

でも全然なんにも決めつけなくてほんとに優しい、ありがとうと思う。

 

10.忘れっぽい天使

私の高校の時の友人で奄美におばあちゃんがいる女の子がいたのですが、本当に明るくて伸びやかないい声をしていて、佳穂さんの歌を聴くとときどきその友人のことを思い出す。別に死んだりしてなくて今度高校のOGバンドで会うかもしれないしカラオケでも一緒に行ったら歌は聞けるとおもうのだけど。

高校1年生のとき、アルトサックスを担当したかったのにパート人数の都合でバリトンサックスを吹いていた私が、通常の練習が終わったあとに誰もいない教室でアルトを吹いていたら(曲はSing, Sing, Singだった、忘れもしない)一度廊下を通りすがって帰りかけた彼女がバタバタと走って戻ってきて、「ええええええ、ちょっと今のもう一回吹いて、上手すぎて誰かと思った」と言ってくれた。バリトンサックスのこと大好きだけれど、当時この部活は私にアルトを吹かせるべきだろうと思ってクサクサしていたので、きちんと音を聴いてわかってくれる人がいて本当に救われた。

でも世の中には(私にも)もっと決定的に損なわれたまま救われない魂があって、この曲はそういう心に寄り添ってくれると思う。雲間から差し込む光を見せてくれる。そういえば佳穂さんファンの友人と遊んでいて、ふとした拍子にこの曲を歌ったのだけどあんまりちゃんとした文章になってない英語の歌詞にわけもなく元気づけられた。「しゅーてぃんしゃわああすけーりんいんびーじぼー、しゃーどてーんしーはさみしそうだね」とひとしきり歌って、私が勝手に2番に戻ったら、そのあとを友人が歌い継いだ。「どうかして、どうにかしてほしいよ」とつぶやくみたいにいった友人の声は少し切実さを含んでいたように思う。みんなどうにかしてほしい、うまく慰められたらいい

 

11.そのいのち

この曲は私にとってはライオン・キングの曲で(違う)、サークル・オブ・ライフなんですけど、ライブで「うってんだーゆ」って言ってるように聞こえる、ほんとはなんていう歌詞なんだろう、と思っていて歌詞カード見たら普通に「うってんだゆ」って言ってた時の衝撃たるや。

ずっと聴いてきてかなり励まされているところに「可愛い君よ」がブチこまれてバブみを感じてオギャる感じになる。なんか母、生きとし生けるものの母じゃんと思って佳穂さんは私より歳下なのにな、キモくて申し訳ない。でも愛される客体としての自分のことを思う。もしくは私が生きているっていうことが殆ど私の大切なひとものを愛することと同義であることを思う。

ずっとバンジョーみたいに聞こえるアコギが入ってて(クレジット見たらAcoustic Guitarって書いてあった)、楽しい気持ち、なんかよくわからないが簡単な振り付けをずっとみんなで輪になってやりたい。

 

12.AINOU

大変なことになっていることだけがわかる、

あとのことはよくわかりません